∀ガンダム(1999)


f:id:godmanzanera:20210420015011j:image
初めてリアルタイムで見たガンダムだけど、改めて観るとこれ完全に大人向けだな。戦闘シーンあんまないし、内容も難しくて子供には意味不明でしょう。逆に大人が見たらすごく楽しめる内容になっている。あと、物議を醸すメカデザインだけど、これはめっちゃかっこいいでしょう。確かに子供の頃は格好悪いと思ったけどね。大人になると趣味って変わるじゃない。食べ物でもピーマンの苦味が美味く感じるようになったりね。それと同じ。逆にこれがカッコ悪いて言ってる奴はまだまだ子供ですよ。

…物語の中で戦争なんて男が兵器をおもちゃにして楽しんでいるだけという強い批判が掲げられており、男たちはみんな情けなく描かれている(カッコイイのはコレン・ナンダーくらい…)。本作の主人公は女性達である。

月の女王ディアナ様。それと入れ替わってしまったキエル。父のかたきを討つため男の真似をするソシエ。リリやポゥなども貴族と兵士それぞれの立場で男性社会からの自立を描いていると思う。

中でもディアナ様が野戦病院で洗濯する回は本作のハイライト。ガンダムを洗濯機替わりにして物干しにもする。“力は使い方次第“ってロランが度々言っていたけどそれがよく表れているシーン。

でも、ディアナ様が月に戻っていってしまってからがあんま面白くなかったかな。そのきっかけとなるキエルの演説という重要なシーンもあんま説得力なかった気がする。多分これに影響受けたであろうテイルズオブリバースのピーチパイ演説の方が本家よりグッときた。てゆーかキエルってなんだったんだ。ディアナ様という大役の前でたかが地主の娘の人格なんてのはあっさり消えてしまうのはリアリティあったけどあまりに往生際が良すぎるような気がした。ソシエがあれだけ個性的な分余計にね。

振り返るとザブングルと被るとこが多かった気がする。ハイテク文明とローテク文明の戦いってとこ、ダブルヒロインで片っぽが嫉妬して他の男にアプローチかけるとことか。こっちの場合、主人公は男らしくないし、エンディングではソシエが可哀想でスッキリしなかった。その点ザブングルの方が作品として好き。正直富野の最高傑作って持ち上げられてて期待し過ぎた感がある。イデオンの方が全然すごかったかなぁ。白富野とか言われてる通り、作家としてリフレッシュできる転機であったのは確実だけど。あとなんつーか考えてる事をモノローグで語らせるシーンが多かったよねえ。あれは表現技術として劣化してるんじゃないかとちょっと思った(もしかしてオールドタイプの表現?)。絵も現代の線の多いバランスの難しい絵に変わったせいか昔の方がシャカシャカ動いてるように感じた。やっぱ絵が可愛いより演技が可愛い方が心に残る感じはする。