Deerhunter - Microcastle(2008)


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ピッチフォークでは高評価を記録しニューゲイザーなんて形で持ち上げられたこのバンド。マスコミは彼らにラブレスの続きを期待したようだが、それは半分当たりで半分ハズレ。彼らはノイジーな音像を用いてシューゲイズの可能性を拡げたけど、彼らの本質はシューゲイザーじゃ無い。それを証拠に次のアルバム、ハルシオンダイジェストでは意図的にノイズを排したアコースティックな作品を作り上げたが彼らの楽曲のオリジナリティは失われなかった。彼らの音楽性、そのルーツはあいまいであるが、ハードコアやポップスでは無いことは確かでぶっちゃけあんまメロディーセンスはない方だと思う。…がそれを補ってあまりあるセンスの良さがあり、その楽曲は享楽的で同時に芸術的。敢えて言うならクラウトロックエレクトロニカ、それをパンク的な軽やかさでもって解釈した感じか。ドリームポップで片付けるにはあまりにもロックバンド的魅力に溢れている。まぁ、簡単に言うとほろ酔い気分で深夜徘徊する時にピッタリな音楽。力が抜けて色んな事が別にいいじゃ〜んって感じになる。ハッピーな音楽だと思う。正にチルアウトって感じ。

https://youtu.be/oup-m8Hxx4Y

前奏曲も含め、ライブでもよく頭に持ってくる彼らの代表曲。この曲は初めて聞いた時から分かりやすく中毒性があった。ゆったりした曲調だけどインパクトは十分。ヴァースがあってコーラスがあって良い曲っていう今までの常識が通用しない感じがした。音楽界でネタ切れが囁かれ始めた2000年代、ディア・ハンターが出てきた辺りから誰も提示してない音像を提示することが音楽の新しい可能性であるという状況が生まれだした気がする。ディア・ハンターはそれに成功した。瞬間でとろける。

https://youtu.be/adkflsDz7H4

このアルバムで最もノイジーシューゲイザーしてる曲。シューゲイザーと呼ばれる事を否定した彼等だけど結局このスタイルが1番彼らに合っているのではないか。

https://youtu.be/sglpevtRGok

タイトル曲。マイクロキャッスルってタイトルはとても納得がいく気がする。音楽でも何でも何か作るって事は自分だけの城を作り上げることだと思う。ディア・ハンターの音楽にはヒッピー的な思想を感じる。でも凄く孤独だ。部屋で一人でヒッピーしてる感じ。彼らはオリジナルな世界を持っている。それはとても羨ましい事だ。

https://youtu.be/sglpevtRGok

このアルバムのリードシングルでアルバムでも最もポップな曲。ヴァースとコーラスがあってまともに格好いい曲。

 

捨て曲なしの名盤。ジャケット内容どれをとっても奇跡的な輝きを放っている。彼らの最高傑作だと思う。