ソロとしては5年ぶりの5thアルバム。こっから全曲作詞作曲COCCOになる。なんか巨大ロボットみたいなタイトルだなぁ。初期のファンには賛否両論らしいがこれは紛れもない名盤である。この作品からCOCCOは沖縄のルーツを解禁する。それは民族音楽への保守的回帰ではなく、沖縄のリズムとCOCCOの紡ぐ美しいメロディの高次元での融合なのだ。それは世に存在しない全く新しい音楽の開発でCOCCOというアーティストのアイデンティティの確率の瞬間である。つまり今までのCOCCOは自らに枷をかけていたような状態で、寧ろここからがCOCCOの本領発揮なのだ。
01音速パンチ
初期の暗いイメージから大きく変貌を遂げた復活後の代表作。明るいメッセージをデジタルなビートに乗せて打ち出している。打ち込みっぽい質感が全体に漂っているが、実は打込みはイントロ部分だけ。アレンジだけとっても挑戦的であるがここで注目すべきはその美しいサビメロだ。このメロディーはカチャーシーと呼ばれる沖縄の踊りを取り入れたもので、沖縄のリズムとポップスの融合を端的に表した楽曲となっている。ライブなどでよく見られるCOCCO独特の揺れるような動きもここからきている。個人的にはこれを聴いて沖縄っぽいとは全然思わなかった。それだけオリジナルな音楽に昇華しているという事が言える。
https://m.youtube.com/watch?v=nIsfIhNxcgUここでそのエピソードについて語っているが、逆にそれまではこの動きをしていなかったってことが意外だ。
02暗黙情事
セクシーなR&Bスタイルの楽曲。沖縄のルーツと同時に下ネタ解禁。元々性的なものを匂わす作風であったが、ここから急に露悪的な表現に走り肉体的な意味が強まってタダのスケベババアみたいな感じのキャラが確立されてしまう。僕は好き。
03夏色
ゆずじゃない。カントリースタイルの楽曲。夜空に無限に広がるCoccoの伸びやかな歌声。どんなスタイルでも日本的な情緒を付加できるのがCoccoの凄いところ。
04Beauty c
完全打ち込みスタイルのちょっとNINみたいなクールでダークな曲。僕は好き。
05四月馬鹿
爽やかギターポップと見せかけてマイナーな展開が切ない楽曲。2番からのラップ調が小粋。
06swinging night
タイトル通りスウィング・ジャズ調の楽曲。何でもできるなぁ。2番から入ってくる長田進のギターがかっこいい。この作品では半分の楽曲の編曲を長田氏が務める
07野火
ための効いR&Bスタイルのファンキーな楽曲。シングル級のカッコよさ。
08唄い人
なんてことないフォーク調のギターにCOCCOが唄い出すと凄い奥行きが生まれるから不思議。やっぱり彼女は天才だなぁ。
09愛うらら
90年代以降のukロック的なものをベースにしたポップス。うん、いい曲。でもなんか歌詞が素直すぎてこんな声してたっけ?と思う。
10インディゴブルー
ここに来てやっとハードなロック。歌詞はこれまたバカみたいにピンク一色。
11陽の照りながら雨の降る
くっそ名曲。ポップスと沖縄民謡的エッセンスの高次元での融合。4分半が一瞬。日本人に生まれてよかった。もうこの時点で余裕で強く儚い者たちより名曲なんだよなぁ。あっちのほうが分かりやすくてカラオケ向きってのがあるけどさ。
12Happy Ending
これまたくっそ爽やかな名曲。てゆーかあ○みょんはこの感じをまんまパクってるよな。しかしCOCCOには常人には到底真似できない天才的なコーラスワークと閃きがある。サビのあとの暗雲立ち込めるようなアレンジが秀逸。ギターポップとかそう言うのを超越した霊的なエネルギーの高まりを感じる。