かぐや姫の物語(2013)


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スタジオジブリ制作、高畑勲監督作。激烈に感動した。これ1作で宮崎駿に勝ってる!!!

なんて悲しい話なのかしら。竹取物語原作という約束されたバッドエンドなんだけど、その中に人間の愚かさと美しさを描ききっている。竹取の翁がええキャラしとる。一時、男性特有の出世欲丸出しになるも一貫してかぐや姫を愛しているというのが伝わってきて泣ける。捨丸兄ちゃんとのラブロマンスも良いんだよねぇ。柔軟な若者、封建的な年寄りそのどちらも罪深く尊いものとして描いている。月の住人であるかぐや姫にはついぞ手に入らなかった愛すべき愚かさである。 かぐや姫がこの世界を愛してくれたからこの世界の美しさに気づけた…そんな気持ちになれる作品。抽象的な感想になってしまったが、この作品において一つ一つのシーンを事細かに語ることは無粋であろう。またそうしたオタク的な習性を満たさない事が高畑勲作品の弱点である。まぁ金にならないと言うだけでこの映画が好きな人にとってはなんら問題じゃない。それにしてもかぐや姫の声優、朝倉あきって女優さんが務めているのだけど良い声や。かぐや姫の奔放さと潔癖なまでの少女性どちらも見事に演じている。かぐや姫が笑ったり泣いたりするだけでまんまとコチラも一喜一憂してしまう。シンクロ率すごい。振り返ると序盤は笑えるシーンも多かった。高畑勲作品はいつも笑わしてホッコリさせてくれるんだけど同時に泣いてしまう。細かい演出やキャラの演技の中にどっか懐かしい原風景を思い出してしまい、自分の体験として蘇るからだろう。