The Vines アルバムレビュー


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すげぇ今更という感じ 。ps2もレトロゲーの時代ですから彼らも昔のバンドかもしれない。今まで正直あんまり好きじゃなかったんだけど、先日入手したah-d1200で聴くと凄く良かった。なんつーかリズムがいいよね。ニルヴァーナとよく比較されグランジのイメージが強いけれど、ローリング・ストーンズみたいなパーマネントなロックンロールの雰囲気も強いと思う。リフ主体の楽曲はAC/DCっぽいなとも思う。まぁ、もちろんニルヴァーナの影響がいちばん大きいんだろうけど。バラードは本当ビートルズっぽい。洗練されたロックを鳴らしてる点ではやはり2000年代以降のガレージロックリバイバルの雰囲気も併せ持つが、結局の所どの時代にも属さないクレイグニコルズの独自の美学が貫かれた音楽を鳴らしている。

 

Highly Evolved (2002)★★★★★

1stアルバム。唯一のオリジナルメンバーでの録音、と言っても録音中にドラマーは脱退してしまったみたいだ。"Highly Evolved", "Autumn Shade", "Outtathaway", "Sunshinin'", "Homesick" (outro only), "Country Yard", "Mary Jane" and "1969"wikiによればこれが初期ドラマーの仕事。もたり気味の粘り気の強いパワフルなドラミングでかなり好き。結局このアルバムしかまともに評価されてないよねこのバンドは。まぁこのアルバムは確かにスペシャルやわ。凄い楽しそうにやってるよね。お馴染みのグランジスタイルと美メロバラードに加え、Factoryはレゲエ調だし、サンシャシンはニューウェーブ風だし、型に縛られてない感じが良い。このアルバムまではバンドの結束も強かったのだろうというのが感じとれる。

 

Winning Days(2004)★★★★★

2ndアルバム。至高の名曲Winning days収録。このアルバム発表後ベースも脱退。速攻でオリジナルメンバーはボーカル1人に。ファーストと比べるとダークでサイケデリックな雰囲気の曲が増えた。1stのようなインパクトを期待した人はガッカリしたらしい。しかし楽曲の質は総じて高く、実験性の高さがそのまま曲の良さに繋がっている。she's got something to say to meなんかはビートルズのようなサイケ感なんだけどvinesらしいハードさもあってかっこいい。この実験精神があったからWinning daysのような名曲も生み出せたのだろう。

 

Vison Valley(2006)★★★☆☆

ガレージロックに振り切った1枚という感じ。前作が割とまとまりに欠けた内容だったのでそこは偉い。まぁやるならやるでもっと大胆に鍵盤をフィーチャーしたり変化が欲しかった(dope trainとか良い感じなんで)。でも一番残念なのはメンバーが全員抜けてバンドのグルーヴ感が失われた点だよね。特にクレイグニコルズの曲はバンドのグルーヴありきだと思う。何となくこのアルバムは風通しが悪い気がして好きじゃない。

 

Melodia(2008)★★★☆☆

マスコミから酷評された4th。まぁこのダサジャケならやむ無し。しかし、内容的に落ちるということはないよね。単純に似たような事ばっかりやってるから飽きられたんやろなぁ。he's rockstarとかめっちゃ好きなんやけどな。まぁ、確かにどこか上の空で虚無感みたいなのが漂ってる感じはする。

 

future Primitive (2011)★★★★★

久々の作品で話題性は全くなかったがファンには受けの良かった1作。すっかり元気になった様子が見て取れる。しかし最初のシャウトでいつもビックリさせられるのがムカつく。この作品は一貫してストーンズっぽいオールド感のあるロックンロールにサイケでスペーシーなアレンジ施されている。正にフューチャープリミティブ(未来と原始)って感じでコンセプトがしっかりしてる。時計じかけのオレンジみたいな雰囲気だと思う。曲のクオリティはどれも高いが、それにしてもここまで往年のロックの雰囲気を再現出来るやつはクレイグニコルズくらいだろう。そんな中、表題曲のFurture Primitiveだけいつものグランジなのが痛快。

 

Wicked Nature(2014)★★★★★

メンバーを一新して発表した2枚組の大作。これ実はこれかなり良い。最高傑作かもしんない。disc1は縦ノリのグランジが多めでdisc2は横ノリのサイケが多めな構成。特にdisc1はキラーチューン目白押しでオススメ。こういうグランジ系の曲ならやる気になればいつでもが作れるんだろうな。リフに歌を乗せる技術で言えば本当ニルヴァーナかヴァインズかって感じだよな。disc2はまぁまぁ。everything elseがブチ切れててかっこいい。新メンバーになってグルーヴ感が増してロックがバッチリ決まってるが、その代わりアレンジは薄くなった印象。

 

In Miracle Land(2018)★★★★☆

野心的なギラつきもなくなってすげえラフな印象。素のクレイグニコルズって感じだな。キチガイじみたシャウトもなりを潜めている。曲によっては盛り上がりどころも特になく終わるからシンプル過ぎてビビる。ソフトサイケって感じの作風だな。まぁ地味だよね。悪くないけどクレイグのボーカルが生きるのはやっぱグランジだよな。