サガン - 悲しみよこんにちは

18歳くらいの少女が書いた小説でその鋭い観察眼に当時、世間が衝撃を受けたらしい。

あらすじを説明すると、夏休みを父親と娘(セシル)そして父親の恋人と共にバカンスを過ごしていたわけです。父はどうしようもない女たらしだけどそこを除けばいい親父だったので娘はその暮らしに満足していました。そこにアンヌという死んだ母の友人が現れます。アンヌは真面目で理知的な女で父の周りにいる女とは違うタイプの女だったので2人は惹かれ合い結婚の約束をしてしまいます。アンヌはセシルに対して勉強しろとか何かと口うるさくします。ブチ切れたセシルはアンヌを追い出す作戦を立てるのでした…。

内容は少女漫画と殆ど変わらないのだけれど、セシルは所謂恋愛至上主義的な女とは違って少し弄れてて周りをちょっと小馬鹿にしてるね。それでいてちょっとの事で感動したり恐れ慄いたり…まぁ、繊細な年頃の普通の女の子だ。この小説は殆どの文学がそうであるように、事の成り行きではなくその過程の内的葛藤に意味があり、家族のパワーバランスやその役割、後にもたらす影響にまで着目している所が秀逸な点だ。確かにそういう点は扶養されてる側の方がシビアに見極められるのかなと思った。オチとして、セシルは間接的にアンヌを死に追いやってしまうのだが、その死を想う度、ポール・エリュアールの詩に準えて、悲しみよこんにちはという気持ちになるという事なのだが…何が悲しみやねん。お前が仕組んだ事やろ。ガキのくせに小賢しいなと思った。この作品ではサガンの観察力について認めることが出来たが、想像力について見抜く事が出来なかったので、彼女がこの先、どういうった作品を発表したのかが気になるところだ。