ベスト盤を作ろう〜The Salovers編〜

THE 2が解散したので久々に聴き返したサラバーズ。当時バンドマン連中にはかなり嫌われてた印象がある。古舘伊知郎の息子だからというやっかみなんだが、実際の所のバンドの評価というのは中々伝わってこない。the2では作曲をやめてしまった古舘佑太郎だが、音楽の才能があるのかと問われるとかなり微妙な所。しかし、インディーズの頃の2枚はロック好きなら聴いといて損はないだろう。音楽性はくるりとアートスクールを足した感じとよく言われていたが、文学少年の妄想が爆発する感じで言えばその2つをも凌いでいた気さえする。単純に曲のクオリティでいえばthe 2の方が上なんだけど、the2では別に古舘佑太郎でなくても歌える事が歌われていて面白みはない。やはりサラバーズの独特の世界観は魅力的だったと思う。

 

01.China

02.ディタラトゥエンティ

03.サルたち

04.パエリア

05.雨降りのベイサイド

06.狭斜の街

07.バンドを始めた頃

08.BIOTOPE

09.文学のススメ

10.チンギスハンとヘップバーン

11.SAD GIRL

12.フランシスコ・サンセット

13.タンデロン

14.サリンジャー

…以上が僕のセレクトしたサラバーズベスト。

やはりインディーズ時代の勢いのある曲が強いが、メジャーデビューアルバムの中から選んだサルたち、雨降りのベイサイドも大きな聞き所だと思う。彼らは若干アジアンテイストのストレートなロックを奏でるバンドと思われがちだが、実はセッション感覚の強いロックとバラードが混在したような緩急の激しい自由な構造を持つ楽曲を多く発表している。そういうタイプの楽曲の中でサルたちは彼らの最高傑作だと思う。恐らくバンドメンバーで集中してアレンジを練り込んだであろう…こういう楽曲にこそサラバーズのバンドとしての魅力が表れていると思う。その要素がラストアルバムでは全然感じられなかったのが残念だ。やっぱ仲が悪くなっちゃってたんだなぁ…と。

雨降りのベイサイドは古舘佑太郎の文学性の極地。再生ボタンを押すだけでこことは全く別の場所、時間軸さえも曖昧な不思議な世界が目の前に広がる。とても美しい楽曲。その余韻を狭斜の街でぶち壊すのが個人的に良い流れだなと思う。インディーズの時代の楽曲だが、この曲もタイプで言えばサルたちに近く、一曲の中でリズムが変わる楽曲だが、この曲は只管に激しい。突飛な歌詞と勢いのあるメロディーのキレが非常にいい。

バンドを始めた頃はファン人気が高い大曲という感じでライブの最後に披露される事が多かったのだろうな(よく知らない)。僕もこの曲でハマった。メロディーが良いし、疾走感のある間奏も素晴らしい。この頃のサラバーズは無敵。流れとしてはこの曲が前半のラストでバンド唯一のインスト曲BIOTOPEを挟んで後半というイメージ。文学のススメはバンドのラストシングルで上で述べたような文学少年の妄想が爆発する様子を最もメタ的に表現された問題作。構成が頭おかしくて好き。意欲作だが、まぁ絶対売れないだろうなと思う。逆にチンギスハンとヘップバーンは世見のバンドに対するイメージ(アジアンテイストのストレートなロックバンド)を守りつつクオリティ的にも花マルという優秀な楽曲で、こういう楽曲ばかり作れてたらサラバーズはアジカンになれてただろうな。sad girlはモロにアートスクールだな。こういうエモタイプの楽曲もコンスタントに出せたら需要があったろうに。フランシスコ・サンセットは単純な楽曲だが、だからこそバンドのアレンジが大事だし、メロディーの良さも際立つというものだ。タンデロンはサラバーズ解散後の曲だが、あまりにもバンド活動後期の曲を入れてないのでねじ込んでおいた。単純にメロディーが好き。この曲ラストアルバムに入っていたら良かったのにと思う。サリンジャーはマジで名曲。いつ聴いても新鮮でこういうメロディーはこの曲以外で聴いたことがない。