COCCO6枚目のアルバム。沖縄のスタジオで制作されこれまでで最もリラックスしたプライベートな雰囲気を持ち、且つGRAPEVINE等ゴリゴリのロックバンドと関わりの深い長田進をプロデューサーに迎えておりバンド感の強い作品になっている。アルバムの統一感という意味ではCOCCOの作品で一番かも。乾いたサウンドと暖かみのある作風は素晴らしく、多分みんなこんな作品を作りたいと願ってるであろう理想的な作品。それを成り立たせるのはやはりCOCCOのソングライティングに依る所が大きいだろう。
01燦
不思議なコーラスがフックになってるロックナンバー。アメリカンな雰囲気を放つ乾いた演奏とは裏腹にCoccoの歌うメロディは沖縄っぽいつうか自然を奉る巫女のように優雅でそれが合わさり異次元を形成してる名曲。
02あしたのこと
アコギの弾き語り形式の楽曲。本作はギター一本の弾き語り曲が多数収録されている。童謡のような優しいメロディが特徴。
03in the garden
弾き語りの長田進氏とのデュエットソング。サラッと聴かせるが一発録りのような息づいた空気が魅力。ブルージィなリードが美しい。
04甘い香り
シンガーソンガーの経験が活かされた爽やかなギターポップ。良質なメロディーとそれとタメを貼るギターの存在感。今作がギターアルバムである事を確信させられる。
05お菓子と娘
バロックポップというのか少し幻想的な世界観。昔ならこういうのに必ず毒を仕込んでたけど今作では親子で安心して聴ける感がある。
06An apple a day
聞き馴染みのあるメロディーとアコギのポップス。
07秋雨前線
曲の良さはもちろんバンドサウンドの心地良さに耳が行く。軽くブライトな質感のドラムに物足りなさを感じないのはCOCCOのソングライティングがあってこそ、そこに深みが出せるのだろう。あとタイトルのはっぴぃえんど感ね。COCCOは細野晴臣のトリビュートに参加してるから多分好きなんだろうな。この乾いたサウンドははっぴぃえんどに通ずるものがあるのかもしれん。はっぴぃえんどよく知らんけど。
08Baby after you
この曲だけ少し打ち込みと賑やかな歓声が入っている。このへんで少し空気の入れ替えってとこだろう。アルバムの雰囲気は損なわない程度に異質で白昼夢のような感覚。
09君がいれば
ギターとベースと打楽器最低限の編成の小曲。歌の内容はシティーポップっぽい。
10 花うた
パット見爽やかなギターポップでリラックスした雰囲気ながら独特のコード進行をもち油断できない。Coccoの特異なポップセンスが垣間見える佳曲。
11tokyo happy girl
お洒落なジャズソング。何やらせても上手いなぁ。なんとなく岡崎京子臭がする。
12小さな町
ここに来てやっとマイナー調の曲が来た。マイナー調の曲は悲しさや切なさと同時に故郷を旅立つ様な力強さを演出することもできるが、この曲は後者。これまでのようなディストーションギターによるヒステリックな表現というのは本作には存在しない。
13雨水色
優しいピアノが印象的なミディアムナンバー。
14ハレヒレホ
カントリー調の楽しい曲。アコースティックなアレンジを施しつつも土臭くなり過ぎない。
15タイムボッカーン!
Tレックス風のグラムロックナンバー。やろうと思えばロックシンガーに早変わり。ほんと多才。
1610years
ディラン風のフォークナンバー。こういう渋いのもいける。
17チョッチョイ子守唄
沖縄民謡らしい。バックボーンも深い。弱点なし。
18Never Ending Journey
オルタナティヴな魅力が爆発しているギターロック。サビメロがエモい。名曲。