前作から僅か一年で放たれたCOCCOの最新作。二十五年ものキャリアを持つアーティストがこの短いスパンで作品を連発しているのは驚異的だ。そしてメディアでの顔見せ封印宣言から注目度が高まった状況で放たれた本作はそれに応えるだけのクオリティを誇る名盤に仕上がっている。生活感の滲み出た前作と打って変わってブラックミュージックを基調としシリアスでミステリアスな作風ながら随所にポップな要素を取り入れCOCCOのこれまでの音楽変遷のポイントも押さえており入門にも最適と非の打ち所のない本作。てゆーかCOCCOはリリースのスパンが短いほど名盤率高い気がするのは気の所為だろうか。
01光溢れ
音数の少ないトラックにいきなり歌から始まるクールなオープニングが印象的。終始切実な空気感。わずか一年で急にアーティストモードに切り替わったんだな。賛美歌を現代的に再解釈的したようなアレンジは米津玄師のレモンを想起させる。
02コバルト
電子的なシンセが誘うファンクナンバー。サビでの沖縄展開は最早お馴染み感すらある。COCCOはとりあえずこれやっとけばいいから強いよね。
03てぃんさぐぬ花
沖縄民謡カバー。ピアノ弾き語りのみというのがありそでなかった。箸休め的な流れがいい。
04True Lies
渋すぎるR&Bナンバー。くっそかっこいい。衝動的な展開もCOCCOなら余裕で乗りこなす。
05ラブレター
今度は優しいR&B。今作はブラックミュージック寄りの作風だ。ビートルズ的なポップなフィーリングがナイス過ぎる。
06PROM
一曲めと地続きの音数少なめのクールな世界観。COCCOらしい仄暗くも情念渦巻くリリックが印象的。後半の少し光の射す展開が美し過ぎる。シンセのフレーズで昇天。名曲。
07ままいろ
全曲からの移り変わりが鮮やか。どんだけ幅があるんだ。三振の音色が郷愁さそう淡い沖縄風ミディアムナンバー。曲の尺も丁度いい。
08恋い焦がれて
これも流れが自然ながら飛躍が大きく気持ちがいい。フラメンコスタイルが新鮮ながら完璧に乗りこなしてる。沖縄の要素を入れるのも忘れてない笑。
09結い
清々しいまでのカノン進行。スガシカオコラボのマイナー調からメジャー調へ行き来し、更にラップまでぶち込んでくる雑多な感じが正にJPOPって感じの曲。
10星の子ら
先のポップスな一面から一気に深遠な世界観へ引きずり込む流れが美しいスローロックバラード。
11嵐ヶ丘
ラストにCOCCO得意のハードなロックナンバーをシレッとぶち込んでくる完璧な流れ。従来とは異なる今作特有の黒いグルーヴが渦巻いているのが特徴。しっかりシャウトまでかましてくれるのは流石。COCCO姉さん完璧です。