aie - hikarika(2011)


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千葉県柏出身5人組ロックバンドaie(アイエ)。

実はエモ(エモーショナル・ハードコア)が盛んだという柏シティ。その中でも一定の評価を得ているこのバンド。特に1step収録nicolai's placeは日本のエモの中で名曲の一つとして数えられる。…だのにいまいち存在がパッとしないその理由は彼らに名盤と言えるアルバムが無いからだ。1stフルアルバムboxでは歌とインストの割合4:6くらいのアルバムを発表してしまい若干滑っていたし(インスト好きの評価は知らないが)、今作では全編日本語詩にチャンレンジすると共にメジャー志向と言えるほどポップに振り切り閉鎖的なエモリスナーを戸惑わせた。しかし自分はそんな彼らの意欲的な態度が大好きだしエモ界隈に漂う閉鎖的な雰囲気を打ち破ろうとする姿勢を頼もしく音楽に対する真摯な態度には尊敬すら覚える。

 

1.音の言葉光の音

光の音と名付けられたのも納得な湧き上がるような歓び、音楽へのリスペクトがそのまま音になったような一曲。彼らの音楽には皮肉やユーモアの成分が非常に少ない。個人的にその辺物足りなく感じちゃう場面もチラホラ。

2.I'm so high

エンジンダウンのようなヒンヤリとした緩急自在のポストハードコア的サウンドがカッコいい。でもこの曲は単純にメロディーがあまり好きじゃない。くるりの虹みたいなモタついたメロディーとハードコアの物々しい雰囲気のミスマッチを良しとするかで意見が分かれるところだ。それにしてもこのバンドは演奏力が高い。

3.歌が歌う歌

本作で最もポップな楽曲。3分間の中でヴァースとコーラスが2回あってギターソロがあってコーラスで締めるというポップソングのお手本のような構成。

04.room light

コードの構成はシンプルながらリズムで変化をつけている。サビが泣ける。更にストリングスが空間を演出してる。彼らのミディアムバラード系の曲ではかなり成功の部類だろう。

05.March

マーチングバンドの可愛らしい雰囲気とは裏腹にどん底からの再生のストーリーを描く。地味ながら完成度が高い曲。

06.丸い青

この曲かなり好きなんだよな。ピアノがリードする爽やかな音像と予測がつかない複雑な展開が合わさって独自の世界観を形成している。ポップ路線の今作で歌が歌う歌と並ぶ上等な成果だと思う。

07.ウツラウツラ

この曲は個人的にはダメ。FLOWバリのアニソン風のノリはやり過ぎだと思う。

08.Qurage

Syrup 16gを彷彿とさせる陰鬱なスローバラード。後半のデジタルな展開は面白いけどやっぱりタルいかなぁ。

09.916

aieらしいと言えるかっこいいエモ。シャウトが熱い。

10.illuminate

本作の目玉と言える壮大でエモくプログレな大曲。ポップなメロディーとこの旺盛な創作意欲がaieの真骨頂だ。

11.言葉のない世界

インストに無理やりボーカルを乗せたみたいなスタイルが非常に洋楽っぽい。前半と後半で同じメロディを繰り返すだけのこの曲を成功させるにはボーカルにかなり高度な表現力が求められると思う。その点やや力不足という感が否めないがやはりこのバンドのチャレンジ精神と音楽に体全部でぶつかっていく姿勢が自分は好きだ。

 

今作も名盤と呼ぶにはやや空回りという印象を受ける。しかし彼らの音楽性の高さはもっと評価されるべきだし、彼らのディスコグラフィを一つ一つ拾い集めるとかなりの数の名曲が散らばっている事が分かる。そこで彼らの中で個人的に好きな曲ばかりを集めたプレイリストを作った。聞きやすさ重視。

01.nicolai's place(i was in the small circle収録)

02.Turn and escape(sequel収録)

03.how(box収録)

04.disconected man(box収録)

05.丸い青

06.room light

07.black box(box収録)

08.illuminate

09.party in my car(sequel収録)

10.歌が歌う歌

11.Lantern slide(sequel収録)

12.march

13.916

14.pixies chat(sequel収録)