死霊のはらわた1、2、3

スパイダーマンサム・ライミ監督によるカルト的人気を誇る死霊シリーズ。

ホラー映画の可能性を拡げた画期的な作品とのこと。ホラーで笑ってもいいし、血がブシャーって出て興奮するっていう所謂スプラッター物もこの作品が起源とされているらしい。細かくは知らんけど。

 

1は勿論ユーモラスだけどそんなには笑いはないガチホラーの部類だと思う。若者数人が森の奥の小屋に迷い込みそこで何かが起こるというのはホラーのテンプレとして存在しているそうだが、死霊シリーズは基本的にこれを踏襲してる。これは今でもそうだがホラーで主人公が男というのは斬新で、しかも恋人や仲間は全員死霊に取り憑かれて襲いかかってくるので主人公がぶちのめす。それがもうアクション映画さながらで血もいっぱい出るし観ていると笑えてくる。馬鹿馬鹿しくも楽しいのだ。こういうホラー映画の在り方は唯一無二だな。バイオハザードでロケットランチャーでゾンビを殲滅する感覚が似てる。てゆーかそういうユーモアはこの映画が源流なんだよな。ニコニコ映画でホラー映画を観るような感覚をサム・ライミはいち早くホラーに取り入れていたんだな。馬鹿馬鹿しいと言ったが割と主人公は防戦一方で手に汗握る緊張感が続き、覚めない悪夢のような不快感とリアリティが絶妙。これを当時観たという人はトラウマになったという声も多く、それも納得の臨場感なのだ。恋人の首を切り落とし吹き出た血が思いっきり自分にかかる不快感は斬新な演出だっただろう。体験型のホラー映画とでも言うのだろうか?最後死霊を倒した時、死体が弾け飛び汚らしい汚物と化してるそこから何故かゴキブリが出てくるシーンはやり過ぎとも思われるが強烈に印象に残っている。多分これもどっかでオマージュされてるし最早、古典的名作って感じだろう。

 

2の序盤は1とほぼ一緒なんだけど、終盤で主人公が自分の体に人体改造を施してヒーロー物と化すんだよね笑。死霊に取りつかれた右手を切り落としてそこにチェーンソーを移植し、背中にはショットガンを刺している。この姿は名作ホラーゲームSIRENでパロディされてるし、チェーンソーマンの元ネタともされている。他にも色々パクられてるんだろう。1で自重してたギャグ要素を積極的に取り入れてるし、好き勝手作った感が堪らん。防戦一方だった1に対して2では最終的に敵を狩る側に回る笑。ホラーに爽快感を求めて何が悪いという、またも掟破りな発想で1とは全く違うファン層を取り込んでいる。これもまた名作。

 

3はちょっとなぁ…。うーん。俺は好きじゃない。2のラストからのほぼ続きなんだけど、チェーンソーマンと化した主人公が異世界転生して活躍するほぼなろう系。無駄に金かかってて笑える。もうギャグ全振りみたいな作風で最早ホラーではないしモンティ・パイソンみたいな笑いが寒かった。サム・ライミって不謹慎で妙にリアルなブラックユーモアの使い手だと思うんだよな。ファンタジー映画としては馬鹿馬鹿しすぎて観てられないし駄作やと思う。序盤は結構面白かったんやけど、ノルマみたいに小屋に迷い込んで死霊と戯れるとこからは全然面白くなかった。