学校2

山田洋次監督学校シリーズの二作目。

西田敏行は前作と同一人物かと思ったけど別人だね。完全に同じキャラクターだけどね笑。前作は夜間学校が舞台で今作は養護学校が舞台。前作では大人たちを相手にしていたのに対し、今作では障害を持った子供であり教育というものがどうあるべきか意識して描かれていた。障害を持つ子供と接するのは甘くなく、本当に最初は観てるだけで地獄だった。重度の障害を持つ生徒に手を焼く新人教師役を永瀬正敏が演じていて、ブチギレるシーンとか本当演技とは思えないほど役と一体になってた。その後の先輩教師たちに説教されて不貞腐れるシーンも本当リアルだった笑。いい役者さんだなぁ。

この新人教師の成長も見所の1つで、障害に対し偏見を持ったごくありふれた一人の若者を通して物語がスムーズに頭に入ってくるのが凄い。彼の成長に伴って僕ら観ている者も差別や偏見を忘れさせ成長するきっかけをくれるのだから素晴らしい作品だ。

もう一人の主人公として登場する吉岡秀隆演じる比較的軽度な障害を持つ生徒の成長も今作の大きな見所。彼は積極的に社会参加を望んでいるが、自分が健常者に比べ劣っていることを自覚していてその事実に苦しみ人生に絶望してしまう。

自分は仕事もまともにできないし、将来女の人と結婚する事も出来ないだろうと…これは何も彼だけの悩みではなく、健常者であっても抱えるありふれた悩みなので引き込まれずにいられないテーマだ。そして彼は旅に出る。自殺に近い所まで考えがいってしまうがそこでまた出会いがある。腹を抱えて笑い、一時的にかもしれないが彼の心は救われた。

美しい物に心奪われ、絶望を忘れいつの間にか心が躍っている。人生はその繰り返しでそうした経験が糧となり生きていけるというような事かな。そうした驚きを映画の中でシーンとして昇華してるのが上手い。だって雪景色の中に急に気球が現れるんだもの。そりゃ感動するさ。