さらば愛しき女よ ー レイモンド・チャンドラー

推理小説を読むのは初めてだった。自分の情報処理能力、記憶力、推理力に自信がなかったので読むのに不安があった。まぁ、何とかなった。

ハードボイルド探偵小説で、ハードボイルドという感じを上手く掴めずかなり苦労した。でも面白かった。  主人公がかっこいいので別に推理小説の事件の謎の部分に関しては重要ではなかった。なのでこれが純粋に推理小説なのかは分からない。事件の捜査は全部ゴリ押し正面突破で草生える。主人公はやさぐれていて勇敢で無鉄砲で皮肉屋で何となく詩的でクレイジーな男だ。そして女にモテる。これがハードボイルドなのだろう。

内容的にはリアリズム寄りというよりは詩的で、やはり小説的な内容なのだが、ベイシティの警察の裏事情を描いた場面が面白かった。あぁいうリアリズムをぶち込んでくる塩梅が良かった。

女を魅力的に書くのが結構上手い。俺は小説家にとって一番必要なのはその点だと思っているので良かった。