beyerdynamic - Aventho Wireless(2017

ドイツの老舗オーディオブランド、ベイヤーダイナミックのヘッドホン。ワイヤレスヘッドホンとしては最高峰の一品でお値段的にも同社のamironに次ぐ定価67000円。

オンイヤータイプのヘッドホンが大好きな自分としてはずっと狙ってた品で、本当は有線タイプが欲しかったがこっちが偶々安く手に入ったので購入。

先ず手に取った感想は重い。普段ゼンハイザーのHD25(140g) を使ってるのでこちらはそれより100gも重い。これはHD25が軽すぎて安っぽいのでズッシリと高級感があると言うべきだろう。

肝心の音は、最初の感想は地味だなぁって感じ。てゆーのもHD25とキャラクターが似ている気がしたんだよね。HD25って名機とはいえ昔からあるヘッドホンなのでそれと比べると当然情報量は増してる。しかしそれが逆に耳に重く感じてしまった。正直失敗したかなと思った。でも、聴き込んでいく内に印象はすぐ変わった。

先ず、メーカーが自社アプリでイコライジングを推奨してる通り、イコライザーは必須かなと思う。

特徴としてはボーカルが近く音場が狭い。素の音はすべての音域が出すぎててうるさい。先ずはこれを整理してやる必要がある。

自分は音楽を聴く時ヘッドホンによって、ドラム用、ベース用、ギター用、打ち込み用で別々のイコライザーのプリセットを用意している。そもそもイコライザーのかかりが悪いヘッドホンも多く存在してその場合はイコライザーを使用しないが、bayerdynamicのヘッドホンはテスラドライバーという独自の構造でその辺はかなり融通が利く。

イコライジングを行うことでaventho Wirelessは真の実力を発揮する。

打ち込みに特化すると例えば宇多田ヒカルのFirst Loveみたいなのズンズンとした肉厚な低音を鳴らせるし、ギターに特化すれば例えばDeftonesみたいなの粒子の細かいギターノイズを表現することも可能。生ドラムに特化するとThe Whoとかストーンズとかも気持ちいい。ベースだとマービン・ゲイなんかのソウルやスライみたいなファンクも艷やかに鳴らせる。どれが特にとかじゃなくて全部高水準で鳴らせるからマジでいい。

HD25との比較で語ると、やはりaventhoの方が格段に音が良い。HD25はよく元気な音と喩えられるが、軽やかなのに重いという聴き易さと迫力を兼ね備えているのに対し、aventhoはもっと丁寧でみっちり詰まった音。これを聴いた後にHD25を聴くと少しペラく感じる。絵で例えるならhd25はアナログ原画でaventhoは綺麗にレイヤーが分かれたデジタル画といった感じ。レイヤー分けされているから楽器一つ一つが手に取るように分かる…所謂分離が良いってことかな。HD25では聴こえない音までよく聴こえる。まぁその分めっちゃ聴き疲れするってのはあるけど仕方ないね。

 

同じワイヤレスヘッドホンであるゼンハイザーのpxc550と比較すると、先ずaventhoの方が音がでかい。pxc550は音場感が良く自然な音で良いんだけど、インピーダンスが高くショボいDAPだと音量が取れないって弱点がある。それに対しaventhoは安物のDAPでも十分な音量が取れました。音はキャラクターの違いはあれどやっぱaventhoが格上って感じ。でもワイヤレスヘッドホンとしての使い勝手で言えばpxc550の方が圧倒的に良いです。pxc550はノイズキャンセリングや外音取り込み機能なんかがあるしタッチパネルのレスポンスも非常に良い。対してaventhoのタッチパネルは糞。音量の上げ下げが全然うまくいかない。Bluetoothも繋がりやすさはaventhoの方がいいんだけど結構途切れるのよね…。まぁどっちも人混みの中では全く使えないので、その辺考慮するならBluetooth5対応のpxc550-Ⅱを買うべきかな。この辺のことを思うとaventho wiredを選んだ人の方が偉かったかもね。まぁ自分はこの音でも十分満足してるし、やはりワイヤレスの楽さは代え難い魅力がある。あとaventhoはデザインも優秀。私服で帽子の上から付けても違和感が無いし、ケーブルが無いと出先でも邪魔にならないというのがいいね。